【遊戯王】デッキ構築における初動札について【考察】
ご無沙汰しております。
前回の更新が10月なので、約半年ぶりでしょうか。
今回はいつものデッキ紹介と異なり、ちょっとした考察記事となります。
今年1月に、待望のマスターデュエルがリリースされました。
現役のOCGプレイヤーはもちろん、しばらく紙の遊戯王から離れていた方や、遊戯王に全く触ったことの無い方もプレイされており、遊戯王とともに育ってきた身としては、(勝手に)嬉しく思っています。
そこで今回は、自分がデッキを組む上で意識している「初動札」の概念について、詳しく考えてみたいと思います。
※この手の話題は、決まった正解が無いことが多く、また上級プレイヤーの中には「その程度の内容は当然」という方も居るかと思います。
あくまで自分の捉え方の一つですので、「そういう考え方もあるのか」と気楽に見ていただけると幸いです。
また、本記事はOCGのカードプールを前提に作成しています。
マスターデュエルの知識のみでも問題なくお読みいただけますが、予めご了承ください。
前置きが長くなりましたが、詳しい内容に入っていきましょう。
お品書き
初動とは
そもそも定義が曖昧な初動という概念ですが、本記事の初動とは、「先行1ターン目にデッキの目標とする盤面を作る」こととします。
簡単な例としては
これが
こんな感じになります。
※カジュアル環境などでは、「手札や墓地にリソースを揃え、2ターン目以降に展開するための準備をする」ことを初動と表現する方も居ますが、そういった動きは本記事では扱いません。
初動の枚数
一口に「初動」と言っても範囲が広すぎるため、ここでは「初動に必要な枚数」ごとに分けてみたいと思います。
ざっくり分けると、以下のとおりとなります。
・1枚初動
・準1枚初動
・2枚初動
それぞれの種類について、長所・短所を合わせて見ていきましょう。
・1枚初動
文字通り、1枚のカードから展開できるタイプです。
初手に必要なカードが1枚だけなのが最大の特徴で、1枚初動の利点としては、
・要求枚数の少なさから、手札事故により自滅するパターンを減らすことができる。
・デッキ内に必要なパーツが比較的少ないため、余ったスペースを他の汎用カードに充てることができ、ある程度の事故や相性不利を誤魔化すことができる。
・仮に相手の展開を許し、盤面を崩されてしまった場合でも、デッキトップ1枚から逆転のきっかけを作りやすい。
といった点が挙げられます。
ただし、欠点としては、
・展開パターンがある程度固定化されやすいことから、相手にマストカウンターを読まれやすく、手札誘発などが直撃しやすい。
・召喚権の競合などから、初動に関与できる手札は基本的に1枚だけとなるため、複数枚引いた展開札が腐りやすい。
などがあり、これらの欠点をカバーするために、前述の余ったスペースを活用していくのが、一般的な1枚初動の構築となっています。
・準1枚初動
初動に何かしらのコストが必要ですが、コストの種類を問わないタイプのカードです。
プレイヤーの中には、「2枚目は単なる手札コストなので、実質1枚初動」と考える方も多いですが、個人的には純粋な1枚初動とは別物と考えています。
こちらは、前述の1枚初動の強みに加え、手札コストとしたカードの効果により、さらなる展開や誘発のケアが狙えるという独自の利点を持っています。
ただし、1枚初動にはない欠点として、手札を2枚消費するためジリ貧になりやすく、デュエル後半での負担が増えることが挙げられます。
現代遊戯王において、手札1枚の差は非常に大きく、対面が毎ターン確実にアドバンテージを取ってくるタイプのデッキであれば、その差が少しずつ開いてしまいます。
やはり手札コストを絡めたギミックや、リソースを再利用するカードなどで差別化していきたいです。
・2枚初動
先程までの1枚初動と違い、初手に特定のカード2枚が必要となるパターンです。
環境デッキの一部に加え、カジュアルデッキの大半がここに属すると思います。
2枚初動系のメリットとして、
・展開パターンや最終的な盤面をある程度選択でき、幅広い状況に対応できる。
・手札効果や墓地効果を駆使するタイプが多く、単発の妨害に対応しやすい。
などが挙げられ、特に天威や相剣のような対応力の高いデッキは、メインギミック内で誘発をケアしながら展開することが可能です。
しかし、デメリットとして、
・必要な手札が多いため、1枚初動に比べ手札事故を起こしやすい。
・メタに割くスペースが少なく、デッキ相性の影響を受けやすい。
といった欠点があり、特にデッキ内のスペースについてはシビアな調整が求められます。
具体的な確率の話は(筆者が知能不足のため)割愛しますが、期待値を1枚初動と同等にするのは難しく、ある程度割り切ってメタカードを積む、金満で謙虚な壺などで無理矢理引きに行くといった妥協案も視野に入れる必要があります。
・その他(3枚初動、メタビート、1ターンキル)
上記3種に当てはまらないデッキタイプです。
例外的な部分が多いため、概要だけ解説します。
・初動3枚以上
ペンデュラム系を中心とした、初手に3枚以上の展開札を必要とするデッキです。
「展開系」と聞くと、こちらを思い浮かべる方も多いと思います。
このタイプの構築では、徹底的に初動を安定させるため、展開札を大量に詰め込み、余った枠に誘発の回答や除去などを添えるのが一般的とされています。
いわばメインデッキのほぼ全てが初動であり、先行1ターン目に対する考え方が前述の3タイプと大きく異なるため、特殊なデッキタイプと言えます。
・メタビート
コントロールデッキとも呼ばれる、低速のデッキです。
一般的な展開デッキが、自分のカードを増やしてアドバンテージを取るのに対し、メタビート系は自分のカードを減らさずに、相手のリソースを削ることを目的としています。
つまり、展開系デッキのような初動というものが存在しないため、こちらも特殊なデッキタイプとなります。
その名の通り、1ターンで勝負を決めるデッキです。
一般的なビートダウンデッキは常に2〜3ターン後の展開を見据えた行動をするのに対し、このデッキはコンボが成立してしまえば勝利できるので、次ターン以降を一切考慮しないのが特徴です。
このため、先程の3枚初動と同様に、デッキ内の9割以上をコンボパーツで固めるため、初動の目的が大きく異なります。
余談ですが、1ターンキルデッキには大きく分けて2種類存在します。
・特定のギミックに特化し、コンボの成立のみを目的とするデッキ(例:D.D.ダイナマイト、グランソイルループなど)
・1ターンキルを狙いつつ、サブプランとして通常のビートダウンも可能としているデッキ(例:マシュマックワンキル、植物リンクなど)
単純なコンボの成立率で見れば前者の方が目立ちますが、デュエル前のジャンケンや相手の手札誘発などの不可抗力も考慮すると、対応力の高い後者も優れていると言えます。
しかし、どちらも凶悪なことには変わりないため、多くの場合は何かしらの規制やエラッタが入っています。
その他、「後手捲り系」や「デッキ破壊」などのデッキタイプも存在しますが、本記事の趣旨から外れるため、割愛させていただきます。
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結局何枚が一番強いの?
結論から言うと分かりません←
テーマごとの性質や、ルール(サイドデッキの有無)などの条件の違いによって、求められる強みが異なるためです。
例えば、前者の条件であれば、恐竜やアダマシアなどの"必要なスロットは多いが、展開力や突破力が高いデッキ"が該当し、初動札に加えて展開札を複数積むことで、事故率の軽減と妨害への回答を同時に行っています。
一方後者では、転生炎獣や海晶乙女といった、"メインパーツを絞ることで、大量のメタカードを積む"デッキが当てはまり、サイドデッキも含めて、適切なメタカードを選択し続けることで、手数や対応力を補っています。
このように、デッキごとに条件が違うため、「初動の枚数=デッキの強さ」ではないということは、念頭においておく必要があります。
(最近、両方の強みを併せ持ったテーマが登場したとかしてないとか)
マスターデュエル(シングル環境)の場合
マスターデュエルに限った話ではありませんが、ランクマなどの試行回数を前提条件とする場合、求められるのは事故率を下げることだと考えています。
(先行を取ったはいいが、事故を起こしたため負けてしまった、という事態を減らすためです)
そのため、現在は比較的事故の少ない1枚初動が、精神衛生上適していると感じました。
もちろん、メタビートなどの低速デッキも、相手の先行展開への対策ができていれば、十分有効だと思います。
(代表的なところでは、罠と誘発を大量に積み込めるサブテラーや、後手からでも除去と耐性持ち高打点で攻めに行けるエルドリッチなどでしょうか)
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参考(デッキ紹介)
ここまでの話を踏まえた上で、参考として、最近のランクマでよく使用しているデッキを紹介します。
スクラップ・ワイバーンのカードパワーと、マシンナーズ・カーネルとのシナジーに着目したデッキです。
基本的にはハリラドン展開からの虹光サベージが軸であり、マシンナーズパーツを引いた際にカーネルを添えることで、虹光の戦闘破壊を阻止します。
※サブ垢とのルームマッチより
1枚初動としてスクラップ・ラプター×3、スクラップ・エリア×3、化石調査×1の7枚、準1枚初動としてスクラップ・リサイクラー×3、ジェット・シンクロン×1の4枚、計11枚の初動札を用意しました。
その他、1枚+手札コストからカーネルを立てられる機甲部隊の再編成に加え、後攻時の1枚初動である緊急ダイヤ、アウローラドン使用後のリサイクラー+オライオンの1枚初動など、安定性と持久力を意識しています。
こちらは、ローズドラゴンを中心に、よりハリラドン展開に重きを置いたデッキです。
先ほどのマシンナーズスクラップより、若干制圧を意識した構築になっています。
クリッター神樹からのハリラドンはもちろん、レッドローズ+ホワイトローズからのバロネス虹光サベージや、後攻時のブラックローズ→ハリラドンなど、複数の選択肢を確保しています。
無効系の妨害を少し多めに構えられるため、上振れの幅は広がっていますが、1枚初動としてはロクスローズ×3、クリッター×3と少なく、準1枚初動に至っては0枚と、安定性に難があるのが課題です。
(ジェットくらいは刺してもいいかもしれない)
ロマリンの素引きには気をつけよう!
後書き
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。
冒頭で述べた通り、今回の記事は、マスターデュエルから遊戯王を始めた方の参考になればと思い、作成しました。
現代遊戯王はカードプールが非常に広く、デッキを組む際の選択肢が多すぎるゲームとなっていますが、初動とアドバンテージの概念を理解していれば、普通のデッキは組めるようになると思います。
そこから、練習や研究を積み重ねて、自分だけのデッキを作っていくのが、このゲームの醍醐味だと思うので、この記事が、遊戯王を楽しむ助けになれば、嬉しく思います。
次回の目標は、多分年内です。
具体的な目標を立てると長続きしないので、あえて目標を立てない(妥協)
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
もし、ご意見、ご感想、ご質問等ございましたら、Twitterまでお願いいたします。
おまけ
パラレルエクシード+フレシアの蟲惑魔ギミックについて
最近、試験運用している出張ギミックについて、簡単に紹介します。
主な目的は、リンク召喚が絡む初動(アルミラージやハリファイバーなど)と同時にパラレルエクシードを出し、展開前にフレシアの蟲惑魔を置くことで誘発をケアすることです。
その他の利点としては、
・フレシア着地後の墓穴ホールのほか、エクシードで先に誘発を踏むことで、メインギミックを通すことができる。
・エクシード、フレシア、墓穴ホールの汎用性が高く、単体でも素材や妨害などの仕事ができる。
などがあり、逆に欠点としては、
・エクシード自体がサーチしづらいので確実性がなく、単体では場に出せないので事故率が上がる。
・罠を数枚積む必要があるので、初動の妨げになることがある。
などが挙げられます。
採用枚数については、エクシード×2、墓穴ホール×1の計3枚が最小単位です。
しかし、エクシードについては素引きのケアや3枚目を引いても場に出せることから3枚採用、墓穴ホールについても、素引きのケアと汎用性から2枚採用が好ましいと考えています。
その他、フレシアの守備範囲を広げるため、各種落とし穴を採用するのも有効です。
いずれにせよ、ある程度スペースを取るギミックのため、初動をしっかり確保できており、枠に余裕があるデッキであれば、試してみるのも面白いと思っています。
(半年後には過去のものとなっている可能性が非常に高いですが…)
改めて、ここまでお読みいただき、ありがとうございました。